「自分のためのお葬式」を考えるとき、具体的に何をどのように決めればいいのか、迷うかもしれません。
しかし、実際のステップをひとつずつ進めていけば、無理なく計画を立てることができます。
ここでは、自分のお葬式をデザインするために考慮すべきポイントと、それに必要な手順を詳しく説明します。

自分に合った形式を選ぶ
まずは、お葬式の形式を考えましょう。
どんなかたちで自分を見送ってほしいかを考えることは、あなたの価値観や生き方を反映する大切なステップです。
以下は、一般的なお葬式の形式の一例です。
- 一般葬
広く親族や友人を招き、伝統的な儀式が行われることが多いスタイル。厳粛な雰囲気のなか、多くの方々に見送られる安心感があります。 - 家族葬
身近な家族や親しい人たちだけで行うシンプルな形式。温かな雰囲気のなかで、ゆっくりと時間を過ごしてもらうことができます。 - 直葬
儀式を行わず、火葬のみで見送る選択肢。費用を抑えつつ、簡素で静かな見送りを希望する方に適しています。火葬場にてご読経をお願いする場合、「火葬式」とも呼ばれます。 - 寺葬(てらそう)
寺院の本堂、境内地内の建物で行う伝統的なスタイル。近年、お葬式の小規模化により見直されているスタイルです。 - 自然葬(樹木葬・海洋散骨など)
あくまでも火葬後となりますが、自然に還るという理念を重視した形式。環境保護への想いを込めることができます。

ご自身の思いに合った形式を選び、それを家族に伝えることが、最初の大切なステップです。
葬儀の内容をデザインする
形式を選んだら、次に葬儀の具体的な内容を考えます。
ここでは、あなたの趣味や好きなもの、大切にしていることを反映させることができます。
- 音楽
好きな曲や思い出の曲を流してほしい場合、そのリストを準備しておきましょう。 - メッセージ
参列者に何か特別なメッセージを残したい場合、遺書やメモにその旨を書き残しておくと良いでしょう。 - 映像や写真
あなたの人生を振り返るスライドショーや映像を流す演出も人気です。 - 花の種類
式場やお棺を装飾する、花の種類や色を指定することも可能です。
たとえば、「バラで埋め尽くしてほしい」「桜のイメージを大切にしたい」といった希望を事前に伝えることができます。
ただ、例えば、棘のある花であったり、赤色の花であったりするのは望ましくないという考え方もありますので、宗教者さまに事前にご相談なさることをおすすめいたします。

遺影や遺品の準備
遺影写真はお葬式のなかでも重要な存在となります。
生前に自分のお気に入りの写真を用意しておけば、遺族が迷うことなく準備できます。写真が苦手な場合でも、「こういった雰囲気の写真を使ってほしい」という希望を伝えるだけで、家族にとって大きな助けになります。
また、遺品(副葬品)についても、「棺にこれを入れてほしい」というリストを作成しておくと、より自分らしいお見送りが可能になります。実際に、ご自身で「棺に入れてほしいもの」とメモ書きをはりつけて、風呂敷のなかに愛用品をまとめていた方も過去、いらっしゃいました。
納骨についての選択
葬儀後のことも考えておくと安心です。
ご自分の遺骨をどこに納めたいか、どのように供養されたいかを考えましょう。以下は選択肢の一例です。
- 家族墓
「○○家先祖代々」と彫られているような、従来のお墓に入る選択肢。先祖代々はじめ、親族と同じ場所に眠ることができます。 - 樹木葬
樹木を墓標とし、自然に還る選択肢。環境への配慮を大切にしたい方に人気です。西日本では、以下の海洋散骨と同様、分骨の一環として行われることが多いようです。 - 海洋散骨
遺骨をパウダー状にし、海に還す方法。海が好きだった方やシンプルな供養を望む方に選ばれています。 - 納骨堂
遺骨を屋内施設に納める方法。管理が簡便で、後継者の負担を減らすことができます。

葬儀費用の準備
葬儀費用についても、生前に準備しておくと残された家族が安心できます。
費用を賄う方法としては以下があります。
- 葬儀保険の活用
葬儀専用をうたった保険に加入しておくと、万一の際にスムーズに支払いができます。 - 生前契約
葬儀社と契約を結び、希望する内容と費用を固定しておく方法です。事前に詳細を決めておくことで、当日のトラブルを防ぐことができます。
最後に
「お葬式をデザインする」というと難しく感じるかもしれませんが実際に、あなたの想いをかたちにする作業です。それは、あなた自身の生き方や価値観を映し出し、家族にとってもあなたの想いを知ることのできる、貴重なプロセスとなります。
この時間をぜひ楽しみながら進めてみてください。
次回は「あなたの準備が家族を支える」をテーマにお話してみようと思います。