お葬式と聞くと、どのようなイメージを抱くでしょうか?
多くの人にとって、お葬式は「家族や親族が故人を見送るための儀式」であり、故人となるご本人が計画するものではないと感じるかもしれません。
しかし近年、「終活」という言葉が広まり、自分自身のお葬式を生前に考えることが注目されています。
これは単なる時代の流行ではなく、自分らしい最期を迎えたいという想いや、残される家族への優しさがかたちになったものです。
自分の最期を自分らしくデザインする
私たちが日々の生活をどう生きるかに個性があるように、「どのように見送られるか」についても個性を反映することができます。
「お葬式は故人のためではなく、残された人たちのためのもの」という意見もありますが、果たしてそれだけでしょうか?
自分のお葬式を計画することで、ご自身の価値観や生き方を伝えることができます。
たとえば、ご自身の好きな音楽や詩を式の中に取り入れたり、自分を明るく送り出してもらいたいという希望を反映させたプログラムを考えたりと、ご本人らしさを大切にする場として設計することができます。
家族の負担を軽減するために
突然の別れは、残された家族にとって計り知れない悲しみをもたらします。
そのなかで、お葬式の準備を進めることは、精神的にも時間的にも大きな負担となります。
どの葬儀社に依頼するのか、どのような形式で行うのか、どんな料理を用意するのか……考えることはたくさんあります。
生前にご自分で計画を立てておけば、こうした多くのご意向が決まっているため、ご遺族が静かに偲んでくれる時間を持つことができます。
また、家族間の意見が対立することも避けられ、スムーズに葬儀が進められるというメリットもあります。
自分の希望と家族の想いのバランスを取る
「自分らしい葬儀」を考える際には、ご家族の意見も大切にすることが重要です。
生前に計画を立てることは、自分の想いを伝えるだけでなく、家族と「最期の時間」について話し合うきっかけにもなります。
この対話を通じて、家族もあなたの想いを知り、ご意向を尊重する準備ができるのではないでしょうか。
一方で、すべてをご自分の希望だけで決めるのではなく、家族の立場や気持ちに寄り添いながら計画を立てることも大切です。
たとえば、「自分はシンプルな直葬を希望しているけれど、家族は少しでも多くの人とお別れをしたいと考えている」場合、双方の想いを尊重しながらバランスを取る方法を探ることができます。
人生を見つめ直すきっかけとして
お葬式の内容を考えることは、人生そのものを見つめ直す、格好の機会でもありま
「どう見送られたいか」を考える過程で、「今をどう生きたいか」という問いにも向き合うことができるからです。
たとえば、自分の好きな音楽や趣味、人生で出会った大切な方々を思い出すことで、これからの人生をより充実させるためのヒントが得られるかもしれません。
また、自分のお葬式を計画することで、「残された家族や友人に何を伝えたいか」という気持ちも明確になります。お葬式は単なる儀式ではなく、自分の生きた証を残し、大切な人たちにメッセージを届ける場としての側面もあります。
終わりに
「自分の為のお葬式」とは、単なる生前準備ではありません。
それは、自分自身の人生を振り返り、家族や大切な人々への感謝を形にするプロセスです。自分の最期をどう迎えるかを考えることは、「今をどう生きるか」を見つめ直すきっかけにもなるのです。
あなたはどんな旅立ちを思い描きますか?
次回は「あなたのお葬式をデザインするためのステップ」についてお話してみようと思います。