忌中と喪中の違いとは?
日常生活の中で、家族や親しい人を失ったときに「忌中(きちゅう)」や「喪中(もちゅう)」という言葉を耳にすることがありますが、これらの言葉が持つ意味や、その期間に求められる振る舞いについては意外と知られていないことも多いものです。
ここでは、それぞれの意味と違いについて詳しくご説明します。

忌中(きちゅう)とは?
「忌中」とは、故人が亡くなってから四十九日間のことを指し、この期間は故人が彼岸に旅立つまでの大切な時間とされています。
忌中の間は、故人が安らかに旅立てるよう祈りつつ、自分自身も喪に服す時期として静かに過ごします。
忌中の風習
かつては、「忌中額」や「忌中紙」と呼ばれるものを玄関に掲げて、不幸があったことを知らせる習慣がありました。しかし、近年は近所付き合いの希薄化や防犯上の理由から、こうした習慣は減少傾向にあります。また、神道の家庭では、神棚に半紙をかけて封じる「神封じ」という儀礼が行われます。これは、忌明け後に取り外すことで清めとし、故人の旅路が無事であるよう祈る意味が込められています。
忌中期間中の過ごし方
忌中の間は、お祝いごとや華やかな行事を避け、家族で静かに故人を偲ぶことが多いです。
宗旨や地域によっても異なる風習があるため、わからない場合は菩提寺や神社に確認するのが安心です。
喪中(もちゅう)とは?
一方、「喪中」は、故人の一周忌までの期間を指し、この期間中は公的・私的な行事においても慎みを持って過ごします。
喪中の間は、お祝い事を避け、新しい年を迎える際の挨拶や年賀状の送付も控えるのが一般的です。
喪中の過ごし方
喪中期間中は、たとえば結婚式や華やかな集まりへの出席を避け、必要に応じて結婚式の延期や辞退を行います。また、新年の初詣や門松の飾り付けも控えることが一般的です。
喪中の間、神道では死が「穢れ」とされるため、喪中の方は神社の行事や参拝を遠慮するのが一般的で、地域によっては食事制限を伴う場合もあります。
こうした風習は、故人への敬意を表す大切な行いです。
忌中と喪中の違い
「忌中」と「喪中」は、いずれも故人への思いを大切にする期間ですが、その意味や過ごし方は異なります。
忌中は特に初七日から四十九日間を対象に、家族が故人の旅立ちに思いを馳せ、慎ましく見守る期間です。
一方で、喪中は故人の一周忌まで、長期にわたりお祝い事を控える期間として意識されます。
いずれの期間も、故人を偲び、遺族の悲しみに寄り添うための大切な時間です。それぞれの意味を理解し、適切な過ごし方をすることで、故人やご遺族に対する敬意をしっかりと表すことができます。