お寺の名前には、「〇〇宗〇〇派〇〇山〇〇寺(院)」というように、「さん」や「ざん」がつくことが多いですよね。この「さん・ざん」は「山号」といって、お寺の名前の前につけられる称号のことなんです。
もともと、多くのお寺が山の中に建てられていたことから、その山の名前を使うようになりました。
この山号は中国の唐の時代に禅宗が広まるとともに使われ始めたもので、日本でも禅宗が紹介されてから広がったんですね。
そのため、それ以前からあったお寺には山号がついていない場合もあります。

山は特別な存在
日本人にとって、山は特別な存在でした。
日本は山が多い国なので、古代の人々は山を神様が住む場所と考えていたんです。
山は食べ物を得る場所であり、水をもたらす大切な源でもありました。だからこそ、山を祀ればご利益があり、山を怒らせると不幸が起きると信じていたんですね。
信仰の対象
お寺の名前に「山号」がつけられるのは、山が古くから信仰の対象であり、生活に欠かせない存在だったことが背景にあります。
お寺の名前は「山」「院」「寺」で構成されていることが多いですが、他にも「堂」や「閣」、「庵」などが使われる場合もあります。
- 「閣」蔵書や仏像を納める建物で、二階建ての四周に扉がついた造りが特徴です。例として、本願寺の飛雲閣や北山鹿苑寺の舎利殿があります。
- 「庵」小さな寺院や尼僧の住まいを指しますが、一休寺のように大きな寺院もあります。
- 「堂」お寺の敷地内に建てられた建物で、法堂や講堂、金堂など、御本尊が安置されていることもあります。
また、寺院の門を「山門」と呼ぶように、山とお寺の結びつきは深いものです。
日本では、昔から山を神聖視する山岳信仰がありました。山は修験道の修行の場として崇められ、多くの山が信仰の対象となりました。
そのため、信仰の対象となった山は「~さん」と呼ばれることが多く、たとえば「比叡山延暦寺」や「高野山金剛峯寺」がその代表です。
ただし、例外もあります。たとえば、浅間山(あさまやま)や立山(たてやま)は山岳信仰の対象でしたが、「~やま」と呼ばれています。
古くからの呼び方がそのまま残っているため、信仰の対象でも「~さん」とは呼ばないこともあるんですね。
お寺の名前には、その由来や歴史が込められているので、お墓参りの際には菩提寺の住職に由来を聞いてみるのも面白いかもしれません。

